表情の話

    下絵

    今、ある原稿を描いているところなのですが、キャラの表情で悩んでます。内面の感情が複雑すぎて「この時このキャラはどんな表情をしたんだろうか」と手が止まります。いつもはだいたい、ネームを描いたとき、または原稿用紙に向かったときにパッと出てくるものなんですが、今回はなんなんだろう……ちょっと考えすぎているのか自分が感情移入しすぎているのか。めずらしいことです。苦しくはないのですが。

    キャラの表情については読者さんから時々コメントをいただきます。(アンケートとかで)

    前にTwitterでもつぶやきましたが、

    「(作者が女性の場合)男性の心情はわからないことも多いのになぜそんなにわかりやすい表情を描けるのか?」という質問に対して

    「キャラが男性でも女性でも、描き手はその時の心情を理解していなければならないので、迷うことはない」と答えました。

    そう、伝える側が、迷いや理解が及ばないようなことがあってはいけないんです。……と思います私は。だってそうじゃないと、伝えたいことがぶれてしまう可能性がありますから。

    表情について、男性だから女性だからと性別で分けて考えることはないです。重視するのは性別よりもキャラクターの性格です。なのでそこはいつも最初にしっかり練っておくようにしています。

    今回、手が止まるようなことがあって、いつもより頭をフル回転させながら表情について考えています。本当の気持ちを言いたい、けど隠してる、悟られるようなことは避けたい、けどどうしても顔に出てしまう等々。計りに乗せた砂糖の分量をスプーンで加減するような感覚です。

    キャラクターの心情とその時の表情について考えを巡らせることは、漫画を描く上でとても興味深くて楽しい作業です。