とあるイラストレーターさんのこと

    数年前、とある集まりで知り合ったイラストレーターさん。素晴らしく美しい絵を描かれる方で、作品を一目見ただけでファンになってしまいました。

    彼女は私が漫画家だと知ると、漫画についてのあれこれを質問してきました。イラストだけでなく、いつか漫画も描いてみたいのだと言って。酒の席でのゆる~い雰囲気の中、メモを取りながら真剣に話を聞く姿に私は感銘しました。イラストレーターとしては実績も実力も十分な作家が、私みたいなペーペーな漫画家の話を、こんなに真剣に聞くのかと驚きました。

    プロの絵描きってこういうものなんだ、と。どんな状況であれ、得られる情報、知識は全部自分のものにする!という強い意思と行動力。なんとなく楽しそうだから~という感覚で、この集まりに参加した自分を少し恥ずかしく思ったのを覚えています。

    そんな素敵イラストレーターさん、最近お仕事で漫画を描いたそうです。「いつか」と言っていたことを実現したのです。

    彼女は漫画を描くにあたり「あの時のお話が役に立ちました」と言ってくれました。ずいぶん前のことなので、自分が何を話したのか全然覚えていないのですが、役に立つような話をしたとは思えないのですけどねぇ……。ほんの数時間話しただけの相手の話をずっと心に留めて、それを力に変え、形にする……凄い人だと思います。この人を見ていると、普段自分がいかにゆるゆる~な中で絵を描いているのかがわかります。私も決して、いい加減な気持ちで仕事をしているわけじゃないけれど、なんというか、この人に比べたらまだまだ全然何もかもが足りないと感じます。

    絵の仕事って、わりと漠然としてるんですよね。仕事1件1件には、方向性や目的が明確にあるけれど、全体の方向っていうか、どんなものを描いていきたいかとかどうなりたいかっていうのは、なんとなくしか見えてこないっていうか。私だけかもしれないけれど。

    ゴールを設定する必要はないと思うけど、目標はあった方がイイですよね。彼女は、私の一つの目標です。

    漫画が発売されたら全力で手に入れたいと思います。

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