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今年の春から、専門学校の講師をさせていただいております。
漫画の描き方は完全な独学で、アシスタントにすら行ったことがない私が、いったい何を伝えられるんだろうかと迷走しながらもなんとか半年。教える側にいながら、生徒さんからいろんなことを教えてもらっています。今さらながら、人と言うのは誰かと向き合ってこそ成長できるのだなと実感しています。
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とても身近にある漫画ですが、描き方に関してはほとんどの人が知らないんですよね。ノートの端っこに落書きするのは得意でも、いざちゃんとした漫画を描こうと思ったら何から始めたらいいかわからない。紙は?筆記具は?どこで売ってるの?どうやって使うの?興味はあるけど、意外とハードルが高い。そういうのが現状のようです。
描き方を学びたくても専門学校は授業料が高い。学校が近くに無い。最近はネットの普及で、情報を手に入れるだけならかなりハードルが低くなったけれど、それでも「何から始めたらいいかわからない」という壁は無くなりません。
昔のアマチュア作家は、そういう壁を自分でなんとかしてプロになったりしているのだから、やろうと思えば出来るんですけどね、本来は。
でも漫画を描いてみたいという人が全員プロを目指すのか、目指さなくちゃいけないのかな?ってことを最近考えるんです。
別にね、「漫画を描く=漫画家になる」ではないと思うんですよ。私がそうでした。漫画を描くのは好きだったけれどプロになるつもりは無かった。結果的に今はお仕事にしていますけども、昔は本当に、漫画が描ければそれだけでオッケーだったのです。
本気でプロになる!という気持ちがあるなら、情報収集や制作の行動力は必要ですが、そこまで考えてないけど興味があって勉強してみたいな~って感じの人もいると思うんですよ。そういう「興味があるよ」程度の人にも、「漫画を描くって楽しいよ!」ってことを伝える場所みたいなのを作れないかなぁとぼんやり考えていたりします。
子供の頃、近所のお家にお習字を習いに行ってたような、ゆるい感じで。会議室とか借りて、道具は持ち寄って。趣味のカルチャースクールみたいな感じでもいい。
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専門学校や大学にはそれぞれの良さがあると思います。授業料が高い分、設備が整ってるし出版社とのパイプもあるし、講師もプロだから高度な技術が学べます。でも、その高級な設備と道具は、全部最初から必要なのでしょうか。あるに越したことは無いけれど、自分の能力に合わせて少しずつ揃えていってもいいんじゃないかなぁと。
漫画の描き方作り方は奥深いものだけれど、最初のとっかかりはもっとハードルが低くてもいいと思うんです。漫画好きの一人として、もっと気軽に漫画を学べる環境が増えたらいいなぁと思います。