コミカライズコンテストの話

長い間、小説のコミカライズは絵の上手い作家がやるもんだと考えていました。自分の画力で人様の作品を映像化(漫画化)するなんて無理だ、そう思いコミカライズのオファーは全部お断りしていました。でも最近は自分の画力がどれくらいかなんて考えるのをやめたので、コミカライズにも興味が湧いてきました。元々小説を読むのは好きだったし、文章を読んで脳内で場面を映像化しながら楽しんでいたので、その映像を出力する(絵にする)ことが許されるならやってみたいなぁと。最近はラノベのコミカライズ作品数も多いですし。

そんな時、目に留まったのが『女子向けラノベのコミカライズ作画者募集コンテスト』受賞できるかどうかは置いといて、お題が面白そうだったので挑戦してみました。

お題の文章(小説の一部)を読んで2ページ分の漫画原稿に仕上げるというもの。やってみるとなかなか難しい。やはり頭で考えているのと実際に描いてみるのとは違います。文章から映像化は難なく出来ると思ってたんですが、ってかそれは問題なかったんですが、2ページ内に収めるというのが難しく。一人称の語りなのでテキストを全部コマに収めると台詞が多すぎる(自分比)。原作小説がある場合、台詞+モノローグを全部収めてる作品も多いようですが、個人的に私はそういう地の文にあたる内容は読み飛ばす派で。漫画は主に絵から情報を得たいんですよね。読者さんの多くがそうだとは限らないし、小説ファンからすると削ってほしくない気持ちもあると思うけど、まずは漫画として読みやすいか?を一番に考えたかったんです。女性向けだから、ヒロインに感情移入するために考えていること全部を入れるのは有りっちゃ有りなんだけど…。ページ数制限がなければ他の描き方も出来たけど…

条件としては『内容を抜粋して~』とあったので、お題の小説文章全部を描き切る必要はないみたいなんだけど、内容的にキリよくすると、全部入れたい気もする。そうすると文章を削らねばならない。あと、文章で読んで心地いいテンポと漫画のテンポはちょっと違うと思う。漫画で読むなら漫画の心地よさを重視したい。

場面(背景)の描写にも悩みました。ヒロインの心情は丁寧に描かれているけれど、それ以外の描写は意外と少ないんですね。小説として読む分にはまったく問題ないけど、絵にする場合は場所や何をしているかの情報が要るわけで。お題はちょっとよくわからないとこがあったりして…自分の読みこみが足りないのか想像力不足かと何度も読み直しました。このお題作者さんの作風なのかラノベ全般そういう傾向なのかわからないんですが、一人称小説は主人公の感情がメインだからそれ以外の描写は極力削ってるんでしょうか。普段私が漫画を描く時は、場面(場所、シチュエーション、舞台)を作ってその中にキャラを置く…という作り方をするので、感情一本で道筋(物語)を作る方法は、そうかそういう手もあるのか~と感じました。

原稿2ページとキャラデザなら2日ほどで出来るだろう~と思っていたのに、試行錯誤しまくったせいで結局倍の5日ほどかかりました。でもなかなか良い経験になりました。自分ならどうするか?なぜこの部分はそうなってるのか?条件を満たすためには?等、普段なにげなくしていることを考え直すきっかけにもなって。なにより普段あまり描くことが無いふりふりドレスが描けて楽しかったです。

コンテスト用に描いたものはポートフォリオサイトで全部見れます。
こちらとは衣装の違う別バージョンです。
https://xfolio.jp/portfolio/sskita/works/90018